Into The FUTURE

未来はすべて次なる世代のためにある

Society5.0と補助金事業 効率化とは何なのか

 

 コロナによる影響がこの先も拡大していくのだろうか。

 東京商工リサーチによれば、インバウンド需要の消失、外出自粛などの影響を受けた宿泊業や飲食業などサービス業の倒産が5月に83件発生したという。販売不振が続いていたアパレル関連など小売業でも48件発生したという。どれだけの人たちが影響を受けたのだろうか。

 ただ、政策の下支えもあってか、5月の倒産件数は減少したという。

 

「経済を正常な軌道に戻さなければ、財政健全化も果たすことはできない。事態が終息した後、デフレ脱却と経済再生の道を確かにするとともに、歳出歳入の改革等、財政再建を進める」

「経済を再生し雇用を守ることに全力を尽くす」

(出所:ロイター)

 

 昨日、6月15日の参院決算委員会での首相の答弁をロイターが伝える。毎度のような聞き古した言葉、長期政権だが、自ら改善できていないことを認めているとのことなのだろうか。

 

jp.reuters.com

 

 

 

 コロナ対策で実施された給付金政策で、対応、支給が遅いなどの問題が露呈している。

 そうした中、持続化給付金では「一般社団法人サービスデザイン推進協議会」という実態が不確かな法人から電通に業務委託されていることが問題視されている。

 2次補正予算でも、持続化給付金事業に1兆9400億円を積み増し、対象範囲を広げるというが、この予算分も、「一般社団法人サービスデザイン推進協議会」が受託する可能性があると朝日新聞が報じていた。

 

 経産省中小企業庁の担当者は3日、「自動的に協議会に発注することは正直しにくくなった」としつつも、コストやスピードを考えると「結果的にそこにならざるを得ない」と話した。(出所:朝日新聞

 

www.asahi.com

 

 持続化給付金ばかりでなく、ポイント還元の補助金事業でも電通への再委託問題があると朝日新聞が伝える。

マイナンバーカードを使ったポイント還元事業の事務を総務省から受託した「一般社団法人環境共創イニシアチブ」が、実務の多くを広告大手の電通に再委託していたことがわかった。

経済産業省の事業では、持続化給付金など複数の事業で電通への大規模な再委託が行われていたが、同じ構図が他省でも明らかになった。 (出所:朝日新聞

 

digital.asahi.com

 

 

 

 国は「Society5.0」を掲げ、イノベーションを標榜し、効率化社会を目指している。

 しかし、足元の補助金事業では、よほど効率化からは遠く離れた実態があるように感じる。

 経産省中小企業庁の担当者は「コストやスピード」を考えると同じ法人に発注せざるを得ないという。この「コストやスピード」とは、まさに効率化ということではなかろうか。

 

 補助金事業に電通を使うメリットとは何なのだろうか。

 

 国が実施する補助金事業は手間がかかるし対応が遅いと、補助金事業を経験した人たちから聞いたことがある。それでも、補助金事業を行うメリットを考えれば、国のルールに従い対応していたという。

 

 率先垂範、まずは国がSociety5.0に繋がる効率化の先例を示すべきだろう。

 電通に発注すれば、こうした従来の問題を同時に解決でき、確実に成果を上げられると実績があれば、納得もあるのかもしれない。

 そうしたことがないのであれば、行政の暴走というしかないだろう。暴走を止めるのが政治の役割のはずだ。それもできずにいるから、いつまでも同じの繰り返しになるのだろうけれども。 

 

 甘い汁を吸おうとする輩を多く育成したのが今の政治の成果なのかもしれない。それで経済が支えられている構図であれば、何とも危ういことではないか。

 

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