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コロナ禍で半導体競争激化 戦いの行方

 

 かつて半導体は「産業のコメ」と言われ、日本企業は世界の半導体市場を席巻した。米調査会社ICインサイツによると国別の半導体シェアで日本は1990年に49%を握った。投資判断の遅れや事業再編などで後手に回り、韓国や台湾企業の攻勢を受け、2018年には7%まで落ち込んだ。米ガートナーが発表する世界の半導体企業上位10社からも、2018年に日本メーカーの名前はなくなった。

 今、世界の半導体製造をリードするのは、台湾と韓国だ。ここに中国が加わってきている。米中対立の激化の影響もあるのだろう。

 昨年末には、半導体製造装置市場として、2021年には中国が最大規模になるだろうとの予測があったが、ファーウェイ制裁の影響で、中国製半導体が今後さらに増えていくことになるのだろうか。

 

business.nikkei.com

 

 

 

 NEC日立製作所の部門が統合して設立されたエルピーダメモリ(現マイクロンメモリジャパン)は2012年に経営破綻した。その時の社長を務めていた坂本幸雄氏が、昨年末、中国のメモリー大手紫光集団の高級副総裁に就任したという。

 

中国は米国などに半導体調達を依存している状況から脱却するため、半導体国産化を進める方針を掲げる。だが18年には量産開始目前だったDRAMメーカー、福建省晋華集成電路が米制裁の対象となり、事業が頓挫。

半導体は米中対立の争点の一つとなっている。 (出所:SankeiBiz

 

www.sankeibiz.jp

 

 半導体の受託生産では、現在台湾TSMCが世界シェアの半分ほどを握っている。ここにサムスンが真っ向勝負をかけると日本経済新聞が昨年10月に伝えていた。この半導体の受託生産分野でも、中国が力をつけ始めているのだろうか。

 東洋経済オンラインは、「中国「半導体受託生産」にファーウェイ制裁の影 「SMIC」子会社に国策ファンドが2420億円出資」と報じる。

 

中国の半導体受託生産(ファウンドリー)大手の中芯国際集成電路製造(SMIC)が、生産拡大や製造プロセスのアップグレードを急ぐのは、以前は海外のファウンドリーに向かっていた半導体の生産委託の需要が国内にシフトしつつあることが背景にある。

興業証券の調査レポートによれば、通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)傘下の海思半導体(ハイシリコン)など中国の半導体設計会社が、調達上のリスクヘッジや中国政府の国産化戦略などを考慮して生産委託の一部をSMICに振り替えている。(出所:東洋経済オンライン)

 

toyokeizai.net

 

 

 

 米国が、「ファーウェイおよび関連企業への輸出管理を強化、米技術を用いた外国製造製品も対象」と日本貿易振興機構JETROが伝える。

5月15日以降、次の2つの形態に該当する製品をEL掲載のファーウェイと関連企業114社に再輸出などを行う場合は、事前に米国商務省産業安全保障局(BIS)の許可が必要となる。

1.ファーウェイなどにより生産された半導体設計などで、CCLに掲載されているソフトウエア・技術を用いて生産された直接製品。

2.ファーウェイなどの設計仕様に基づいて生産されたチップセットなどで、米国外にある工場もしくは工場の主要な装置を用いて生産された直接製品。

ただし、BISはファーウェイなど向けに再輸出などが行われることを認知していた場合のみ許可を要するとしている。また、5月15日の時点で、既にファーウェイなどの設計仕様に基づき生産を始めている場合で、その完成品の再輸出などを行う際は、5月15日から120日以内であれば許可を求めない。 (出所:JETRO

 

www.jetro.go.jp

 

 日本経済新聞は、この規制を受け、「ファーウェイは主力のスマートフォンも含め、幅広い事業・製品の部品調達を見直す必要に迫られており今後、製品の開発や生産に支障が出る可能性がある」と指摘する。

 

www.nikkei.com

 

 英国もファーウェイの規制強化に乗り出すのだろうか。ロイターが「英国は、次世代通信規格「5G」や他のテクノロジー関連機器の供給で、中国依存を回避するため、民主主義の10カ国から成る連合の形成を目指している」と伝える。

 

米中間で「ハイテク冷戦」も激化しているようだ。

 

 この冷戦で気がかりがある。半導体製造装置において、日本メーカの世界シェアは高い。東京エレクトロンアドバンテストは、中国半導体メーカーに最先端装置を輸出しているといい、中国リスクがあるとの指摘もある。

 

一方で、レーザーテックは2世代程度前のマスク欠陥検査装置を輸出しているのみなので、大きなリスクはないと思われます。ディスコは、中国民族系、中国外資系(サムスン中国工場など)、OSAT(後工程専門業者)など顧客が分散しているため、これも大きな中国リスクはないと思われます。 (出所:トウシル)

 

 もっとも、アメリカの対中規制強化によってファーウェイのスマートフォンの販売シェアが落ちたとしても、シャオミ、オッポなどの他の中国スマホメーカーや、サムスン、アップルのシェアが向上すれば、半導体需要と半導体設備投資には問題が起こらない可能性はあるともトウシルは指摘する。そんな単純に割り切れるだろうか。

 

media.rakuten-sec.net

 

 米中「ハイテク冷戦」、米国側につくだけが戦略ではないように思う。それでは対立に巻き込まれるばかりだ。この手の話において、米国追従ではなく、そろそろ独自路線があってもいいのではないかと思う。

 関連する世界的なメーカーが日本にも多く存在している。 

 

 

「参考文書」

jp.reuters.com

www.nikkei.com

 

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