医療崩壊が近づいているのかもしれない。各地の病院で院内感染発生との報道が増える。外来の停止や新たな入院の受け入れ中止などが発生し始めている。病気になった際に診断してもらえなくなる可能性が出てきている。
「一部の重篤患者を緊急治療室で治療できない状況になっている」とBBCは伝える。
問題が顕在化してから気づき、あわてて対応することなら誰にでもできる。危機下において、後追いの処置を続けていれば、どこかで破綻するのは時間の問題であろう。
大阪市では、医療従事者向けの医療ガウンが足りず、市長が市民にレインコートや雨合羽を寄付するよう呼びかけている (出所:BBC)
一方で、日本経済新聞は「首相、医療物資「プッシュ型」で提供 7都府県に医療用マスク追加配布」と4月11日報じていた。もう10日近く前のことだ。
自治体での不足状況も把握せずに、不足するところに優先するのでなく、プッシュ式を押し通すのであろうか。
「アベノマスク」と言われる布マスクの配布が始まったようだ。AFPが配達の状況を写真で伝える。
当初より評判のよくないアベノマスクだが、東京新聞は、不要という人に、ホームレス支援団体がマスクの寄付を呼び掛けていると報じる。
一方で、配布された布マスクに異物の混入や汚れがあると報道される。一般的に、こうした事例があれば、リコール、自主回収となるのではないであろうか。
政府支給品は安心・安全を無視してもよいのであろうか。
衛生用品である。この返品交換処置は甘くないであろうか。この品質では寄付もできないとの意見も出てきても何ら不思議ではない。
説明責任が求められているであろう。
4月17日に記者会見があった。首相から「できる限り外出は控えてほしい」との呼びかけがあった。その週末、鎌倉市観光協会はTwitterで、市内の車の通行量を投稿、鎌倉観光を控えるよう呼び掛けていた。
4月19日(日)12時30分現在の二の鳥居付近歩道橋および国道134号由比ガ浜海岸付近の画像です。午後になって車の通行量が増えてきました。
— 鎌倉市観光協会 (@kamakura_kyokai) 2020年4月19日
今は車での鎌倉への観光も控えるようお願いいたします。
皆様のご協力により、少しでも早く通常の生活が戻り、鎌倉観光をお楽しみいただければと願っています。 pic.twitter.com/3NOAPSe3oj
よほど信用されていないのだろうか。記者会見直後の週末の光景とも思えない。
未知のウィルスによる未曾有の国難、危機的状況にあるのではないであろうか。
政府は週明け、何かアクションがあるのであろうか。医療崩壊だけでなく、もっと悲惨な危機になったりはしないのだろうか。
<解説> 政府の新型ウイルス対応に批判の声
――マイケル・ブリストウ、BBCワールドサービス・アジア編集長
これは厳しい警告だ。
日本の2つの医学会が、新型ウイルスのアウトブレイクによって、病院がその他の重篤な急患を受け入れる余裕がなくなってきていると指摘した。
日本は他国に比べて感染が確認された人数が少ないが、病院はすでに患者を受け入れられなくなっている。
医療従事者からは医療ガウンやマスクなどの不足を訴える声が出ており、この国が新型ウイルスへの対応を準備していなかったことがうかがえる。日本は1月の時点で、中国以外で感染者が出た2番目の国だったにもかかわらず。
こうした中、経済への打撃を恐れて外出制限などの措置をもっと早く講じなかったとして、安倍首相に批判が集まっている。
もっと厳しい措置をもっと早くにと訴えていた東京の小池百合子都知事は、安倍政権と言い争いを繰り返してきた。
安倍首相がついに緊急事態宣言を全国に拡大したのは、4月16日のことだった。 (出所:BBC)
海外のメディアには、日本の現状がこうして映っているようだ。良識にもとづいた客観的な見方ではないであろうか。
ネガティブな情報ばかりを集めた訳ではない。今ある事実を積み重ねると見えてくるものもある。これが今ある現実。少しばかり先行きが心配になってきた。
韓国では、新たなコロナ感染者の数が1桁になったとロイターが報じた。欧州の4か国で1日の死者数が減少したとAFPが伝える。国内の感染拡大はいつ収まるのだろうか。
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