Into The FUTURE

未来はすべて次なる世代のためにある

CSRはコンビニを救えないのか 持続可能性から見放されるセブン&アイ 

 

 GEの元CEOジャックウェルチ氏が亡くなられた。20世紀最高の経営者といわれた人である。エジソンを祖とする米GEをゼネラルエレクトリックを世界有数のコングロマリット企業へと成長させた。

これほどの成功はビジネス界では稀有なことだったのかもしれない。

 

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 コロナショックで株価の下落が続く。パンデミック宣言が出れば、なおさらのことなのだろう。景気の回復で企業の採用活動が活発化した就職活動にも影響が出始めているのだろうか。 

コロナ禍、目の前に大きなハードルが立ちふさがりはじめたように見える。

企業はこの困難にどう立ち向かっていくのだろうか。ジャックウェルチのような名経営者が登場することはあるのだろうか。

 

 

 

立て続けに問題が起こしたセブンイレブンを傘下におさめるセブン&アイが「ESG推進およびコンプライアンス体制の強化に関するお知らせ 」というニュースリリースを発行した。一連の不祥事への対策ということであろうか。

 

 CSR統括委員会に「コンプライアンス部会」および「サプライチェーン部会」を新設し、グループ全社におけるより一層のESG推進およびコンプライアンス体制の強化を図ることといたしましたのでお知らせします。 

(1)コンプライアンス部会(新設)
グループ会社の社員が法令および社会的規範を遵守し、お客様やお取引先との間の公正取引を含むコンプライアンスを実践することは、当社グループの社是「信頼と誠実」の実現のために欠くことができない重要な基盤です。グループ各社レベルでのコンプライアンスの徹底はもとより、持株会社である当社がグループ各社のコンプライアンス体制強化のサポートおよび監督の実効性を確保するため、コンプライアンス部会を新たに設置します。

(3)サプライチェーン部会(新設)
国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」や「持続可能な開発目標(SDGs)」へ迅速に対応し、人権や環境に配慮した健全なサプライチェーンを構築することは、企業の重要な社会的責任の一つであると同時に、ステークホルダーからも強く求められております。グループ各社ごとの品質向上と安全性の確保のため、当社グループの「品質方針」に基づいて、グ
ループ各社の品質基準や管理体制の整備・強化を図ります。また、商品・サービスにおけるサプライチェーン全体での社会的責任を果たすため、お取引先に「お取引先サステナブル行動指針」のご理解と実行をお願いしています。その遵守状況をCSR監査等を通じて定期的に検証・共有し、教育・啓発・是正を進めるため、サプライチェーン部会を新たに設置します。 

 

 セブン&アイは、グループ社是を「信頼と誠実」とし、CSRを経営の中核におく。その傘下のセブンイレブンでは、顧客とフランチャイズオーナーの信頼を裏切る行為が続いた。

無断発注や残業手当の支払い不足など、コンプライアンスの根幹である法令や社会的規範から逸脱した行為が続いた。

 生じた問題の出口を締めれば、対策した様な気になる。根本原因が正さなければ、また同じ問題が生じるリスクを残す。セブン&アイの発表内容だけでは仔細を知ることはできないが、何か付焼き刃的な対策に見えてしまう。

 

 

 

 

 セブン&アイのホームページでは経営計画が公表されている。幾重に積み重なる目標、その実現のためのいくつもある行動指針。目標の多さ、行動指針の多さに驚く。どれだけの社員が、この複雑になった行動指針などを理解できているのだろうか。

計画は社員ひとりひとりの実行を伴なって目標達成に近づく。追いかける目標が多ければ、犠牲になる目標があっても不思議はない。もっとシンプルに書きあらわすことはできないのだろうか。

 

 ジャックウェルチも、ミッション(経営理念)とバリュー(行動規範)が重要だと説いた。それは現実的で、具体性があって、シンプルにわかりやすくその方向性を明確に示し、目的に到達するために取るべき行動を表現するという。

 

セブン&アイの社是は

「私たちは、お客様に信頼される、誠実な企業でありたい。
私たちは、取引先、株主、地域社会に信頼される、誠実な企業でありたい。
私たちは、社員に信頼される、誠実な企業でありたい。」

だという。

 

しかし、現実は真逆のようだ。今回のニュースリリースで発表された内容で社是の実現は可能なのであろうか。

 

 V字回復はそうそうあり得ることではない。改悪にならず、現状維持できていれば合格点と言えるのかもしれないが、それでは、社員は負担を強いられ続けることになるのではとも感じる。生産性改善、働き方改革にほど遠い世界がそこにあるようにも見える。

   

新型コロナウィルスの影響がこの先心配される。すべてのステークスホルダーに信頼される、誠実な企業であることが試されることになるのかもしれない。

ピンチはチャンスという。米コンビニも苦境のようだ。このピンチをチャンスに変えていけるのだろうか。

 

「関連文書」

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