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都市鉱山を発掘せよ 「e-waste」問題を貴重な金属資源に

 

  e-Waste、電気製品・電子製品の廃棄物のこと。

 

電気・電子製品の廃棄物には、鉛・カドミウム・水銀などの有害物質を含むものが多く、近年その急増が環境問題として取り上げられ、とくに発展途上国における悪化が問題視されている。日本の家電リサイクル法によって中古家電製品が途上国に輸出され、その結果としてE-waste問題に拍車をかけていることが指摘されている。一方、携帯電話などの廃棄物から金・銀などのレアメタルが回収できることも指摘されており、都市鉱山としての資源価値も検討され始めている。(出所:Wikipedia

 

 世界のあちこちに、e-waste「電子ゴミの墓場」があるといわれる。電機会社に勤めていた人間にとっては身につまされる思いがする。

 


Still A Black Star Trailer

 

 家電リサイクル法や小型家電リサイクル法などで、国内できちんとリサイクル処理されているかというと、必ずしもそうではないようだ。

 独立行政法人国立環境研究所によれば、リユースやリサイクル目的で、日本から輸出される中古家電や金属スクラップがあるという。現地でリユースされるものもあるがリユースされず、適正にリサイクルされているか不明なケースもあるとのことだ。

 

 

 

 有害廃棄物の国外越境を規制するバーゼル条約などにより、海を渡った電子機器が直接廃棄処分されることはないものの、使えそうな部品や金属が抜き取られ、その後、アフリカに渡り放置され、そこで深刻な環境汚染を引き起こしているとも言われる。

 動画にあるように、アフリカ ガーナでは、用済みとなった電化製品からわずかな金属を取り出すために、子どもたちがワイヤーハーネスなどのプラスチックスを燃やしている。

年間5,000万トンのEウェイストが新たに生み出され続けている。そのうち適切に処理されているのは多く見積もって20%足らずであるといい、残りの80%余りがどう処理されているかについての正確な追跡データはほとんどないのが実情だ。(出所:AMP)

 

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  国内では、排出される電子機器は、認定事業者によって回収され中間処理施設で破砕・選別の後、金属精錬施設で鉄・アルミニウム・銅・金・銀・プラスチックなどが回収される。これが正しく機能すれば、都市鉱山といわれるリサイクルシステムが完成する。この都市鉱山では、中間処理を担う静脈産業が重要役割を負う。

 

 

 

 環境省によれば、産業廃棄物処理業の許可を持っている事業者は約11万者存在するが、実際に業を行っている事業者数は約6万社と全体の6割程度。産業廃棄物処理業を主業(売上高の割合が50%以上)とする事業者数は約1.2万者と、全体の1割程度に減る。さらに、優良認定事業者数は約1千者であり、主業者数と比べ大きな開きがみられるという。こうした業者たちが、今、国内の廃棄物処理を担う。

 

産業廃棄物処理業の振興方策に関する提言(概要版) 環境省

 

 リサイクルの高度化、経産省で検討が進めているサーキュラー・エコノミーを考えれば、静脈産業を底上げしていく求められるているのではないであろうか。

 産廃処理業界での進化が難しいのであれば、必要に応じて、最終処理を行なう金属精錬事業者や電子機器製造メーカの支援も必要になるのではなかろうか。この先、動脈産業と静脈産業の結合は不可欠になっていく。

 

 循環型経済電子廃棄物は年間少なくとも625億ドルの価値があると世界経済フォーラムは指摘する。

 米アップルはこの分野に積極的に投資し、使用済アイフォンから採取した金属を新たな製品に使用し、サーキュラー・エコノミーを進めている。電機メーカがアップルと同じことができないのであれば、早期に都市鉱山のしくみを確立する必要があろう。そうでなければ、経産省が描く「サーキュラー・エコノミー」が絵にかいた餅になり、いつまでも「e-waste」の問題解決は遠のく。

 

 東京オリンピックのメダルは、都市鉱山から採取された金属で製作されるという。既に必要量を確保した成功した事例がある。解決できない問題ではないはずである。

  

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「関連文書」

www.nna.jp

 

 

「参考文書」

www.weforum.org

 

www.smfg.co.jp

 

小型家電リサイクル制度の課題及び対応方針案について(経済産業省)

 

使用済小型電子機器等の再資源化の促進に関する法律(環境省)