サスティナビリティ、イーロンマスクの「ゼロ・エミッション構想」が仲間との会話で話題になった。自然エネルギーで発電し、CO2を排出しない世界を目指そうとするテスラに何か可能性を感じる。
今、そのテスラが「サスティナビリティの世界」をリードするようになっている。
ここ最近、サスティナビリティやSDGsが急速に使われ始めてきた。使い捨てプラスチックスや大量に捨てられる衣料品が問題視され、そうした報道を目にする機会が増えた。今までは、豊かさや便利さを追求した陰に隠れていたのかもしれない。世の中のトレンドが変化して、ムダの上に社会が成り立っていたことに皆が気づきはじめた。
私自身もそうだ、長く海外に身をおき、急成長する業界いたせいで、国内問題にまったく気づかずにいたということかもしれない。自分のいた業界のことがあたりまえのことと勘違いしていた。
頻繁に報道されるようになったフードロスや衣料品の廃棄問題が気になった。自分が経験してきたことからすると、こんなにムダがあることにただ驚いた。膨大なムダを発生させてもビジネスが成立することに疑問を感じた。
パソコンの周辺機器を作る会社にいた。インターネットの普及とともにPCも急速拡大した。作っていた機器はPCに直接組み込まれるようになり、欧米のPCメーカが顧客になった。価格圧力の強い世界だった。
一年ごとに性能アップで機種変更して売価維持しなければならなかった。実用化技術にも限度がある、いつしか粗利が20%でも事業が回ることが求められるようになった。
下がり続ける価格に対抗するためには、徹底的にムダを排除していくしかなかった。本社ブランドフィーさえ重たく、製品受発注業務も海外に移転させ、国内は営業と設計開発のみを残し、少数で製品生産とサプライチェーンを維持することになった。
顧客であった欧米企業はパートナーシップ意識が強い。Win-Winの関係性を求められ、共有事項を増やし、最適なものづくりをしようとの姿勢があった。ただ、シングルソースではないので、競合他社があり、常に価格競争があった。
大量に捨てられる衣料品 が気になった。
SPAがもてはやされ始めた頃、参考になることはないかとアパレルのサプライチェーンを少しばかり調べてみたが、ここまでムダが出る産業とは気づかなった。
日本のアパレル企業が非効率なバリューチェーンを構築しているばかりに、極めて重要な役割を果たしている商社だが、その商社も重い課題を抱えている。(出所:ダイアモンドチェーンストアオンライン)
(資料出所:経済産業省「繊維産業の課題と経済産業省の取組」)
江戸末期、生糸は日本の重要な輸出品だった。歴史ある産業には、日本独特の産業構造や商慣行があるのかもしれない。それが業界に根付いていく。
少しだけ調べてみたが、自分が経験してきた業界とは全く異なる世界がある。
ユニクロが、SPAとして急成長したことが少しばかり理解できるし、SDGsとはほど遠い世界がそこにあるように思えた。「SDGsウォッシュ」という言葉があることも理解できるようになる。
産業ごとに常識は違うのかもしれない。その業界にいれば、その業界の常識しか見えない。
以前、トヨタの生産方式を学んだことがある。工場を訪問、そこでムダ取りを実地で学ぶ研修だった。その時に学んだことは、「常識を疑え」ということだった。
今までは、産業がそれぞれに成長、発展してきた。サスティナビリティ、持続可能な社会では、業界を跨いだ連携や協力が必要なのかもしれない。ユニクロと東レの関係が、その好例かもしれない。
「ZOZO」や「シタテル」、「10YC」ような新興勢力が登場、業界に新風を吹かせている。こうしたスタートアップたちがもっと登場し、業界の常識を少しづつ変えていく必要があるのかもしれない。
「参考文書」