Into The FUTURE

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「石炭を捨てろ」 それでもJパワーの技術は活きる

 

  何か、Jパワー(電源開発)は間違えていないだろうか。

 世界でも、日本でも批判が多くなった「石炭火力発電」にいつまで固執しているのだろうか。「石炭、石炭」と強調すればするほど、人々の心は離れるし、摩擦は増える。

 

 今までに培ったきた最先端のコア技術を活かし、事業化したいとの気持ちは理解することができるが、それをレガシー産業と直接結びつける必要があるのだろうか。

 現在の状況下では、エネルギーの安全保障上、石炭が重要ということに、一定程度は理解できる。今すぐの石炭火力発電所の全廃が現実的でないことも理解できる。

 しかし、その石炭でさえ、いつかは安定調達できなくなるかもしれない。メディア報道は100%正しくないのかもしれないが、多くの石炭を輸入する先のオーストラリアは、今世界の批判の的になってはいないであろうか。

 

 

 運用資産総額が7兆ドルにのぼる世界最大の投資会社であるブロックロックが「気候変動を投資戦略の中心に置く」と宣言した。石炭と炭素ベースの経済に肩入れし続けている企業の健全性が揺らぐことになるだろうとNewsweekが報じた。

 ブラックロックの主力ファンドは、インデックスファンドで市場全体の動きを反映させる。現在、運用するエネルギー企業寄りのインデックスファンドが、今回打ち出した環境重視の姿勢と矛盾することから何かしらのアクションが起こすことをNewsweekは予測する。

 例えば、「解決策の1つは、世界最大の鉱山会社BHPグループなどが石炭関連資産を手放すことかもしれない。そうすれば、ブラックロックの積極運用(優良株を選定)と安定運用(あらゆる株を保有)の投資先として残ることができる」と。

 それに加え、石炭大国オーストラリアの国債が深刻な影響を受けるかもしれないと指摘する。

 

森林火災の大きな被害と豪政府の生温い対応は、オーストラリアが気候変動の影響を大きく受ける国の一つでありながら、その解決にほとんど尽力してこなかった国であることを示している。次に起きるのはオーストラリア国債からの資金引き上げだ。

このプロセスはすでに始まっており、スウェーデン中央銀行保有するオーストラリア国債を放出する決定を下した。(出所:Newsweek

 

 さらに、Newsweekは、「最近のダイベストメント(投資引き上げ)運動の際立った特徴は、「象徴的な姿勢」が瞬く間に関連企業の資金調達難につながっていることだ」と指摘し、「オーストラリアのクイーンズランド州にあるカーマイケル炭鉱の開発事業を計画したインドの複合企業アダニグループが、金を貸す銀行を見つけることができなかったという事実は、こうした圧力の存在を示している」という。

 そうしたことを事例にオーストラリア国債の格下げの可能性をあげる。

  

オーストラリア政府は気候変動について何もしなかったことについて、「経済破壊」を招きかねないから、と釈明してきた。しかし、石炭関連の投資を有害とみなす動きが広がると、政府の不作為がより大きな損害を引き起こすリスクが高まるだろう。(出所:Newsweek

 

www.newsweekjapan.jp

 

 メディア報道に誇張があるのかもしれない。それでも、世界の動きは脱石炭にあって、その動きには抗し難い。その動きに抗うことができなければ、石炭の安定調達という言葉は偽りになる。

 

 Jパワーは戦略転換を求められているのではなかろうか。今ある資産を活かしながらの戦略はあるはずだ。

 

 石炭というレガシーな産業を終わらせると宣言できないだろうか。その実現のために、今ある技術を活用する。炭鉱は閉山することとして、JパワーのCO2回収・貯留(CCS)技術を使ってそこに埋蔵する。その間に採掘される石炭は主に水素製造の原料とする。

 すでに世界に点在する非効率な石炭火力発電所は、設備改修の範囲内で、超々臨界圧ボイラーの技術の応用やバイオマス技術を使い、喫緊の課題として低炭素化に取り組み、将来的には風力発電に切り替えていく。

 そんなことはできないのだろうか。ビジネスとしては成り立たないのだろうか。

 いまある石炭産業の問題を解決するという方向に戦略を置き換える。世界の潮流を鑑みれば、何年後かの将来は同じ結果になるのだから。

 今あるJパワーの「環境経営ビジョン」に何ら反しもいないと思うし、環境先進企業になることもできるのはでないであろうか。

 

環境経営への取り組み | 環境経営 | J-POWER 電源開発株式会社

 

 今朝、産経新聞を読んで、そんなことを感じた。

  学生時代、Jパワーの研究所でアルバイトをしてことがあった。それもあってのことか、関心はあるし、応援したくもなる。石炭からの決別宣言をして欲しい。

 

www.sankeibiz.jp

 

 「論語」にこんな言葉がある。

「邦に道有れば、則ち知、邦に道無ければ、則ち愚」

 日本資本主義の父と言われる渋沢栄一も「論語」を愛読し、「論語」と「算盤(ビジネス)」は両立すると説く。

 この言葉に答えがあるように思った。

 

 にかほ第二風力発電所

 

 

「参考文書」

にかほ第二風力発電所の運転開始について~秋田県で3地点目、国内風力24地点目の運転開始~(Jパワーニュースリリース)