Uberに逆風が吹いているのだろうか。
安全への憂慮
ロンドンで事業認可が取り消しされたという。なりすまし対策が不十分で、市民の安全確保に憂慮があることが背景のようだ。
TfLの認可部門を統括するヘレン・チャップマン氏は、「ウーバーの運営には改善点もあるが、免許や保証のない可能性のあるドライバーが顧客を車に乗せるのを認めていることは許されない」と指摘した(出所:BBC NEWS JAPAN)
ウーバーは、2017年にロンドンでの営業認可を取り消されたが、その後、2回にわたって延長が認められてきた。最後の延長は25日で期限が切れる。TfLは、ウーバーは運営方法についてさまざまな改革をしてきたものの、認可を与えるには「適さない」と判断したと説明した。
これに対しウーバーは、不服申し立てを行ない、その手続き中は事業を続行するとしている。 (出所:BBC NEWS JAPAN)
過去2回も営業認可が延長されたにも関わらず、何故改善が進まないのか。さすがに規制当局の堪忍袋も限界に近づいていないだろうか。
環境負荷
Forbesは、利用が増えるウーバーのサービスが新たな環境負荷原因になると、EUの環境団体が指摘、対策を求めていると伝える。
「より環境に優しい交通」をうたう配車サービス大手のウーバー・テクノロジーズ。そんな文句と裏腹に、欧州ではウーバーのような配車アプリの利用拡大が、大気汚染や気候変動の一因となっていることを示唆する調査結果が明らかになった。環境団体からは、同社などに車両の電気自動車(EV)などの対策を急ぐよう求める声が上がっている。(出所:Forbes)
泣きっ面にハチという状況だろうか。
報告書 後を絶たない暴行
そのウーバーが12月5日に安全性に関する報告書を公表した。
米国内で2017~18年の2年間に6000件近い性的暴行被害が報告され、うち450件以上がレイプ被害を訴えるものだったことを明らかにした。また、同期間に暴行を受けて19人が死亡したとしている(出所:AFPBB)
ロンドンの認可取り消しにタイミングを合わせるかのように公表された数字。この数字をどう見るかは人によって異なるだろう。絶対的な安全を求められば、数字は限りなくゼロに近い数字でなければならない。
飛行機の墜落率が、0.0009%らしいので、ウーバーで性的暴行喰らうより飛行機で墜落する率のほうが高いのでは? https://t.co/OHg2Zx0MRG
— 深津 貴之 / THE GUILD (@fladdict) 2019年12月6日
しかし、性的被害の多さが目立つ気がする。ウーバーは過去においても同様な問題を起こしている。
透明性と多様性
今回の報告書の公表に合わせ、Uberの最高法務責任者Tony West(トニー・ウェスト)氏がコメントをブログに書いたと、TechCrunchが伝える。
「このように扱いの難しい安全問題のレポートを自主的に発行するのは容易なことではない」と Uberの最高法務責任者Tony West(トニー・ウェスト)氏がブログに書いた。
「ほとんどの会社は性的暴力などの問題について語らない。そうすることでマイナスイメージが広がり世間の批判を受けるからだ。しかし我々は新しいアプローチをとるべき時期が来たと感じている。25年以上にわたって性的事件を訴追し、このような問題を扱ってきた者として、私は新しいアプローチが絶対に必要であることをみんなに伝えたい」
「性的暴力の扱いには公正さが必要であり、それはこうした問題に光を当てることによってのみ実現できる。我々は社会のあらゆる部分に透明性を与えることから始める」とウェスト氏は書いた。「そして最も大切なのは、信頼できるデータを提供することによって、Uberの利用をドライバーにとっても乗客にとってもより安全にできるということだ」。(出所:TechCrunch)
Forbesは、2018年にジョインした一人の女性ボー・ヤング・リーを紹介する。彼女は、ウーバーでCDIO(最高ダイバーシティ&インクルージョン)責任者を務めるという。
多様性が力になる、違うものを排除せず取り入れる企業文化が成長につながる
ダイバーシティのあるチームをつくるうえでフラストレーションが起きることは覚悟してほしい。そのかわり、結果は必ずよくなる。
変化を受け入れてほしい。 (出所:Forbes)
今回の報告書公表は彼女がリードしたのだろうか。ボーが進める「ダイバーシティ&インクルージョン」がウーバーを変えていくのか。
『だが、以前のように社内のスキャンダルが騒がれることはめっきり減った。変化は起き始めている。今後注目すべきは、「結果は必ずよくなる」という彼女の約束の結果だ』とForbesは伝える。
「ダイバーシティ&インクルージョン」の本質は違いを認め寛容すること、そこから新たなものが生まれる。
日本でも同じようなことが多く報道されるようになっている。ウーバーのことを他山の石としなければならない。