Into The FUTURE

未来はすべて次なる世代のためにある

【ポイントとビットコイン】日米政府による楽天の監視と熱を帯びるビットコインETF

 

 ビットコインETF上場投資信託「パーパス・ビットコインETF(BTCC)」が、上場後2カ月未満で資産が10億ドル(約1100億円)を突破したとブルームバーグが報じる。

www.bloomberg.co.jp

  発行会社であるカナダのパーパス・インベストメンツからの情報だという。ビットコインETFへの関心の高さがわかる。気にあるETFであったが、早々の10億ドル突破に驚く。

 

 

 Tポイントや楽天ポイントビットコインに交換できるようなった。そう思えば、世界のそうした動きもごく自然な成り行きなのかもしれない。

bitflyer.com

 楽天ではビットコイン電子マネーにチャージして買い物で利用可能になり、また、楽天ポイントを利用したビットコインでの「ポイント運用」も始まった。

 

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(画像:楽天グループ

 専用ページ「ポイントビットコインby楽天PointClub」へアクセス、運用するポイント数を設定するだけで、始めることができるという。

 楽天によれば、「ビットコイン」の取引価格の変動に連動して、設定した「楽天ポイント」が増減し、その変動状況をサービスページでいつでも確認することができるという。

 

  

 こうしたサービス開始は、投資に関心を持つ人が増えていることの証なのかもしれない。

 その証左のように、HEDGE GUIDEによれば、楽天銀行楽天証券の口座連携サービス「マネーブリッジ」の預金残高が3兆円を突破したという。

hedge.guide

マネーブリッジは、設定すると楽天銀行普通預金金利が年0.10%(税引き後 年0.079%)の優遇金利の適用になる。

スイープ機能によって、楽天証券での取引時の不足金を楽天銀行の預金残高から自動入金、楽天証券口座にある資金を毎営業日夜間に楽天銀行へ自動出金、 出金された資金は優遇金利が適用される普通預金へ自動預け入れという、シームレスに取引を行える。

また、楽天銀行の優遇プログラム「ハッピープログラム」にエントリーすると楽天証券の取引に応じて「楽天ポイント」が貯まるといった特徴がある。 (出所:HEDGE GUIDE)

 楽天経済圏で資産運用するなら便利なサービスなのだろう。

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 そんな中にあって、日米両政府が「楽天」を共同監視し、中国への情報流出を警戒と共同通信が報じる。それによれば、経済安全保障の観点からだという。

 一方、日本経済新聞は「中国ネット大手の騰訊控股(テンセント)子会社による楽天への出資を巡り、改正外為法の運用で政府が苦心している」といい、「安全保障を脅かしかねない大手中国企業による国内通信大手への出資は改正法が想定していた典型例ともいえるが、同法で厳しくした事前審査を免れた」と報じる。

www.nikkei.com

「日本の重要企業にあっさりと中国の資本が入ってしまったのはショックだった」。

政府関係者は楽天がテンセント子会社から3.65%の出資を受けると発表した3月12日をこう振り返る。 (出所:日本経済新聞

 コンサバに考えることはないのかもしれないが、昨今の情勢下で中国企業から出資を受ける必要性があったのだろうか。それとも背に腹は代えられない事情でも楽天にはあったのだろうか。

 政治の世界はよくわからないが、楽天の行為は遺恨を残すことにならないかと心配したりする。

 

 

給与のデジタル払い」が始まろうとしている。JIJI.COMによれば、厚生労働省が制度案の骨子をまとめ、今年度の早い段階での省令改正を目指しているという。

スマホ決済を手掛ける「PayPay(ペイペイ)」など「資金移動業者」のうち、一定の条件を満たす企業のアプリを振込先として認める方針だ。 (出所:JIJI.COM)

 遺恨を残すことで、こうしたことに影響しなければいいのだが。取り越し苦労だろうか。

www.jiji.com

 お金を扱うとなれば、「信用」、「セキュリティ」が何よりも重視されるのだろう。投資の世界ではミレニアル世代向けが大きな流れになり、投資の選択肢も増え、始めようと検討している人も多いのだろう。ますます「信用」、「セキュリティ」が重要視されていくが、その一方で、地政学リスクが高まり、どことなくきな臭さもある。

 いつまでもITベンチャーのように振る舞うことは楽天には許されなくなっているのかもしれない。事情があることなのかもしれないが、社会インフラの一部となり、その負託されている役割を無視することなく、慎重に行動したケースもある。その自覚が楽天には求められているのだろう。

 

【デジタル化インフラ】 データセンターにオリックスが新規進出、富士通は省エネ化

 

 多角的金融サービス業のオリックスがデータセンター運営事業への進出を検討しているとブルームバーグが報じる。

データセンターに対するニーズが激増している」と、井上社長がブルームバーグの取材に答えたという。

www.bloomberg.co.jp

 コロナ禍で電子商取引が増えたことや高速通信規格「5G」の利用拡大期待が背景にあるという。オリックスが得意とする再生可能エネルギーの活用も検討するそうだ。 

 

 

 先の国の成長戦略会議でも、「データセンター」が検討項目にあがったばかりだ。

 会議ではデータ通信量が年々増加し、さらAIやビッグデータ活用により急増、この3年間だけでも、移動通信のデータ通信量は約2倍に増加したと指摘する。

 一方、そのインフラの中核であるデータセンターは、東京、大阪に集中しており、データ処理の全国分散・効率化、災害に対するレジリエンス強化の観点から、何らかの対応が必要という。

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(資料:内閣府「成長戦略会議 基礎資料」

 レジリエンス強化、全国のデジタル化のため、データセンターの強化、最適配置を今後の政策の方向性にあげていた。

 

 

 GAFAなどのデータセンターは気候が比較的穏やかな地域に設置されているという。空調の省エネ目的で、必要に応じて外気を使って冷却したりするという。

 アップルは、気候が穏やかなネバダ州にデータセンターを設け、再生可能エネルギーを利用している。

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(写真:アップル)

 そのAppleは、グリーンボンドにより47億ドルの資金を調達し、1.2ギガワット分の再生可能エネルギー発電に投資する。

 デンマークでは、世界最大の陸上風力発電2基を建設し、約20,000世帯への供給に十分な電力量、毎年62GW時の発電ができるという。この電力は デンマークにあるAppleデータセンターの電力として使われ、余剰分はすべてデンマーク国内の電力グリッドに送電されるという。

 

 

 国内では富士通が、2030年度の事業所における温室効果ガス排出削減目標を2013年度比で33%削減から71.4%削減まで引き上げたと発表した。

 それによれば、SBTの「2℃水準」を更新し、今回の目標が「1.5℃水準」との認定を受けたという。

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(資料:富士通

pr.fujitsu.com

 日本経済新聞によれば、電力消費の4分の1を占めるデータセンターなどで省エネルギー技術の導入や再生可能エネルギーへの切り替えを加速するという。

群馬県館林市の主力データセンターで人工知能(AI)を活用し、空調設備の電力消費を削減。4月からは国内のデータセンターで消費電力の一部を再生エネに順次切り替える。オーストラリアのデータセンターでも太陽光発電用パネルを設置するといった取り組みを進めており、グループ全体で再生エネの利用を促進していく。(出所:日本経済新聞

 富士通のデータセンターが、夏の気温が高くなる館林に立地することに驚く。今までどれだけの電力を消費していたのだろうか。

www.nikkei.com

 富士通は、これまで再生エネの調達が容易な欧米の拠点を中心に切り替えを進めてきたが、国内でもようやく大規模な切り替えに乗り出すという。

 アップルと比較することが野暮かもしれない。グリーンボンドで資金を調達してまで、再生可能エネルギーの設置を加速させる企業が、ある一方で、ただその普及をいつまでも待っている企業も存在する。

 国が動いてから様々なムダが明るみになり、尻を叩かれるようにして、省エネや再エネ切り替えに動き出す。それでは、何が何でも遅すぎはしないだろうか。

  

dsupplying.hatenadiary.com

 

「参考文書」

wired.jp

 

【ヘルメットなしで乗れる電動キックボード】区分は小型特殊自動車、それでもまだ実証実験中

 

 電動キックボードが、実用化に向け一歩前進したようだ。ヘルメットの着用義務を任意とした実証実験を始めると、警察庁が全国の警察に通達した。

 それによれば、産業競争力強化法に基づく特例措置で、認可を受けた事業者の車両を「小型特殊自動車」に位置づけるという。この実証実験に電動自転車シェアリングサービスを展開するLuup(ループ)など4社が参加、シェアリングサービスを始めるそうだ。

www.businessinsider.jp

 Business Insiderが、新しく始まるLuupのシェアリングサービスを紹介、また実証実験での主な変更点を説明する。

 それによれば、利用するには、Luupの既存アプリ上で事前に免許証の登録と交通ルールに関するテストの受講が必要となるそうだ。

 さて、どこまで利用者が増えるのだろうか。

4月下旬、実証試験を開始する段階で、まずは既存のシェアサイクル用のポートに100台程度電動キックボードが追加で設置され、順次使用可能な台数を増やしていくこととなる。最終的には、都内約300ポート中約200ポートに電動キックボードが設置される見込みだ。 (出所:Business Insider)

 

 

 警察庁の「多様な交通主体の交通ルール等の在り方に関する有識者検討会」が15日、中間報告書をまとめた。

 電動キックスケーターや自動配送ロボットなど次世代? 小型モビリティに関する新たな交通ルールを検討しているという。

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(資料:警察庁

検討会は、公道での実証実験が行われている電動キックスケーターや自動配送ロボット、搭乗型移動支援ロボットなどについて議論。

いずれも現在の道交法に当てはめると、走行場所が制限されるなどして性能を生かせない恐れがあるという。 (出所:JIJI.COM)

www.jiji.com

 テクノロジーが進歩すれば、今までなかった新たなハードウェアとサービスが登場する。いつまでも従来と同じルールや法律で規制しようとすることに無理があるということなのだろう。

 

 

 河野太郎行政改革担当大臣が昨年12月に開催された規制改革推進会議の第6回投資等ワーキング・グループの会合で、警察庁に「つまらぬ規制が沢山」、「頭切り換えて」と発言したことを思い出す。このときは、自動運転がテーマであったが、同じことが言えそうな気がする。

実証実験でやられた経験やデータをもとに、道路の使用あるいは車両の安全基準に関する許認可の制度、車検の在り方、そういうものも、具体的な課題として取り上げて、どんどん世界最先端のことができるようなルールを作らなくてはいけない、検討をどんどん前倒しをしていかなければいけないときに、さっき申し上げたような、合理性がない規制が残っているというのは、日本経済にとって非常に問題だと思っております。 (出所:第6回 投資等ワーキング・グループ議事概要)  

dsupplying.hatenadiary.com

 ここ数年で、明らかに交通のあり様が劇的に変化している。従来のままで運営ができなくて当然なのだろう。新しいモビリティが利用者にとっても、また他の道路使用者にとっても安全であるように制度を見直し、インフラを再整備し、また必要があれば、歩行者を含めて安全教育の在り方も考えていく必要があるのだろう。

 つい先日も我が物顔で疾走する高齢者が乗る電動カートにびっくりしたことがある。否定する気はさらさらないが、みんなにとっての安心安全が何よりである。

 

 

 京急電鉄が「横須賀市内で電動キックボードシェアリングを開始します!」と発表した。観音崎京急ホテルと横須賀中央駅間で利用でき、乗り捨ても可能だという。

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(写真:京急電鉄

 この電動キックボードの乗車には、運転免許証(原付1種)が必要と京急電鉄はいう(貸出ヘルメット付、任意保険加入済)。

www.keikyu.co.jp

 新しい時代には、新しいルールとインフラが必要になる。「発想の転換」なくして、そうしたものの準備は進まないということでもあるのだろう。

 

【テクノロジーの憂鬱】アリババの巨額罰金にみる強欲と倫理

 

 中国アリババが独占禁止法違反で、当局から182億元(約3050億円)の巨額な罰金を科された。

 今になっての摘発には何か理由があったのだろうか。見過ごすことができない小さな小さな火の粉があったのだろうか。気になることだが、それよりはこの措置による影響の方が気になる。

 TechCrunchによれば、「私たちは誠意をもってこの刑罰を受け入れ、私たちの決意を確実に遵守します。社会に対する責任を果たすために、法に則り誠実に行動し、コンプライアンス体制を強化し、イノベーションによる成長を目指します」と、アリババは声明を出したという。ずいぶん品行方正な言い様である。

jp.techcrunch.com

「政府の健全な規制や尽力がなければ当社の成長はなかった。そして、当社顧客層の全てによる批評と寛容さ、支持は、当社の発展に極めて重要」との公開書簡をアリババが公表し、「感謝と敬意でいっぱいだ」と声明を出したとブルームバーグが伝える。

 

 

 「中国テクノロジー大手の「黄金時代は終焉」-起業家に究極の悪夢か」とブルームバーグは別の記事でそう指摘する。

 こうした措置の意味合いが完全に判明するのにはまだしばらくかかるだろうが、1つ確かなことがある。

中国で生まれた大手テクノロジー企業の輝ける日々は終わったということだ。 (出所:ブルームバーグ

www.bloomberg.co.jp

 ブルームバーグは複数の人に取材し反応を伝える。それによれば、まだ標的になっていない企業でも、事業を制約のある新たな環境に適応させ、拡大戦略をトーンダウンしていくとの意見があり、こうした企業の発展は厳しい政府の管理下に置かれる公算が大きいとの見方もあるという。そして、「近くそうなる」と分析しているという。

「誰もが規制当局の監視下にあり、それは実のところ各社に対応を促す。当局に命じられた事業再編に従わなければならなくなるより、率先して自ら是正に取り組む方がましだ。」 (出所:ブルームバーグ

www.bloomberg.co.jp

 ブルームバーグによれば、アリババの他、テンセント・ホールディングス(騰訊)、動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」の北京字節跳動科技(バイトダンス)を含む国内のネット関連大手34社が当局に呼び出され、「法律のレッドラインに触れてはならない」と告げられたという。

 

 「テクノロジー企業が互いの間に築いてきた厚い壁も崩れ始めた」とTechCrunchはいう。

 その例として、WeChatの決済手段を上げ、それがAlibabaのオンライン市場には存在しなかったというが、WeChatを搭載したAlibabaのミニアプリが登場するようになれば、長い対立の前例を破ることになることになるかもしれないという。 

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「テック企業の楽な時代は終わった」という昨年年初のTechCrunchの記事を思い出す。

 ソフトバンク騒乱後のシリコンバレー全体のムードが「強欲」から「恐怖の方」へ変わり、投資家は責任ある資金の使い方を見つけるのに少々苦労している可能性はあると指摘していた。とはいえ、まだ楽観論が支配し、「成長を第1に、収益を大差の第2に、キャッシュフローを第3置いて、利益はおそらくさまざまな要因に応じていずれ手に入るものと考えている」という。ただ「テクノロジーの触れたものは直ちに金に変わるという、かつて蔓延していた感覚はほぼ消え去っている」と伝えていた。

 記事は「One Medical」という会社を事例に、カスタムソフトウェアを使っている、そういう会社はテック企業のように装いテックの後光をまとっているが、おそろしく説得力がないという。

jp.techcrunch.com

 中国での出来事も、過熱し過ぎた強欲に当局が水を差したのだろうか。

 国内ではデジタル化花盛りのようだ。何か影響はないのだろうか。

 

【進まぬデジタル化の深層】富士通とシーメンスがDXで協業する理由

 

 コロナ渦は様々な弱点をあぶり出している。官庁のデジタル化の遅れが顕在化したことは言うまでもない。Society 5.0で、目指したはずのサイバー空間とリアル空間を限りなく融合し、問題解決していく社会からは大きくかけ離れた現実がそこにある。

 DXデジタルトランスフォーメーション経産省が指摘した「2025年の崖」、「レガシーシステム問題」も何のことはない、官庁のシステムにこそ問題があったということに過ぎないのかもしれない。

 ビックデータ、IoT、人工知能、ロボティクスなどの技術でイノベーションを起こそうとの掛け声も、こうした現状からすればただ虚しく響く。

 

 

 絵空事のような、あまりにも現実からかけ離れた長期ビジョンが国の成長戦略になることほど危ういものはないのかもしれない。[Society5.0]という壮大な構想もその類なのかもしれない。目指す社会の方向性としては間違いではないのかもしれないが、戦略には膨大の分析と実現可能性の十分な吟味が必要だ。その上で戦略が描かれるべきだ。

 民間企業の意識にも問題があるのだろうか。国の成長戦略会議が4月12日に開催され、米国企業がポストコロナでビジネスモデルの大きな変革を予想しているのに対し、国内企業はその意識は低く、働き方の変化を予想していることを指摘する。

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(資料:内閣府「成長戦略会議 基礎資料」

 成長戦略会議は、Society5.0が目指した世界からかけ離れた現実を示す。DXの社会実装をこの先どう進めていくのだろうか。

 

 

 その成長戦略会議の論点に「デジタル化への投資・実装促進」があがり、デジタル庁を中心としたデジタル化の推進として、自治体の情報システムの標準化や準公共分野を含めたデータ整備を進めるべきとの意見があがる。現実路線への回帰なのだろうか。公共機関がレガシーシステムのままでは、枝葉ばかりを先鋭化させても、どこかで非効率に陥るのが関の山だ。戦略の練り直しというところのなのだろう。

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 DX デジタル・トランスフォーメーションへの投資促進が論点にあがり、重点分野に変化があらわれたのだろうか。まずはインフラ基盤の整備に方向性を持たせようとしているのだろうか。

 「5G情報通信インフラの早期・集中的な整備の推進」や「多数同時接続や超低遅延の機能が強化された5G(ポスト5G)等の研究開発支援」などに加え、 「デジタル社会の基盤となる先端半導体やその製造技術の開発支援」、「先端半導体の確実な供給体制を構築」、「今後のデジタル需要・データ通信量の急増に対応する高性能・低消費電力データセンターの分散立地」などを支援すべきとの意見があったようだ。

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(資料:内閣府「成長戦略会議 基礎資料」

 そんな中、富士通が、製造業のDXの強化支援に向け、独シーメンスの日本法人シーメンスデジタルインダストリーズソフトウェアと協業するという。

 製品ライフサイクル管理システムや製造オペレーション管理システムなど様々なシーメンス製品を再販するという。また、設計と製造のものづくり情報をつなぎ、製品の市場投入までの時間短縮と生産性・品質の向上を実現する3D-BOP機能をシーメンス社の技術支援を受けて開発するそうだ。

pr.fujitsu.com

 こうしたニュースを読んでみてみると、国内でDXが進まない理由がわかるような気になる。

 

 

 戦後間もない頃、日本製といえば粗悪品の代表で、海外製、舶来品が重宝されていたと聞く。その後、先人たちが「追いつけ、追い越せ」をスローガンに努力した結果、高品質な日本製という神話が生まれたが、それももう昔のことだ。

 気がつけば、先端のハードウェアは海外製になり、テクノロジーも技術も海外製ばかりで、DXもまた海外の力を借りなければ、前に進まないのかと感じてしまう。

 グローバル化の時代になり、国境を気にする必要性は薄らいだのかもしれないが、先行きに不安を感じたりする。まして地政学リスクが再び高まってきてもいる。

 先人たちを模倣して「追いつけ、追い越せ」で技術開発をキャッチアップしなければならないのかもしれない。成長戦略会議の資料に読んでみて、そんなことを感じた。

 

【ポイントと暗号資産】暗号資産に進出するメルカリとスーパーアプリで経済圏構築を目指すANA

 

 メルカリが、暗号資産やブロックチェーンに関するサービスの企画・開発を行う子会社を4月下旬に設立すると発表した。新たな子会社は「株式会社メルコイン」という名称にするそうだ。

about.mercari.com

新会社を設立し、暗号資産事業に取り組むことで、「メルカリ」においては、売上金のビットコインでの受取り機能の提供や、「メルペイ」においても決済・送金機能の提供に留まらず、与信、暗号資産・資産運用の機能を一つのウォレットで提供していく等、より簡単に金融サービスを利用できる環境を構築していきます。 (出所:メルカリ)

Concept:モノや信用に加えて、あらゆる価値が交換できるマーケットプレイス

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(資料:メルカリ)

 メルカリは、暗号資産全体の時価総額が200兆円を超え、これまで採掘された金の時価総額約1200兆円の6分の1の規模に迫り、大きな存在になりつつあることを指摘、また、国内では2017年4月に「資金決済に関する法律」が改正され、様々な事業者が暗号資産交換業に参入、資産運用を中心に活用が広がっているという。

www.mercoin.jp

 楽天は3月に、「楽天ポイント」を利用して、暗号資産(仮想通貨)ビットコインの取引体験ができる「ポイントビットコインby楽天PointClub」を始めた。

 Tポイントも、すでにbitFlyerと連携し、Tポイントを使ってビットコインを取得したり、bitFlyerの加盟店でビットコインでの商品・サービス購入時にTポイントを貯めることができるようにしている。

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 買い物に使えるポイントも便利であるが、ひとつの経済圏に組み込まれるようで、あまり興味がなかったが、こうして新たな資産形成や投資として利用できるようになるのであれば、ようやく本来目指してきたポイント利用の形に近づいてきたのではないであろうか。

 

 

 そんな中、ANAが、非航空収入を拡大しようと、インターネット上の様々なサービスをマイルで利用できる「ANAスーパーアプリ」を2022年度から始めると発表した。

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(資料:ANAホールディングス

 後発ながら、ANA経済圏の構築を目指すということであろうか。航空事業の収益が激減する中、「マイル」の価値を拡大させ、「航空事業一本足からの脱却」を目指すという。

travel.watch.impress.co.jp

 

 ANAもまた、暗号資産に進出するのだろうか。

 

【実質ゼロ】二酸化炭素循環の実用化と可能性 ~デンソーでプラントの実証始まる

 

 2050年のカーボンニュートラルの達成を国が発表すると、企業が一斉に脱炭素技術を競うにようになる。極めて単純な構図だが、それで気候変動の緩和に役立ち、そこから新たな産業が生まれれば、それはそれでいいことなのだろう。

 

 

 デンソーが、工場から排出される二酸化炭素(CO2)回収して循環利用する実証施設「CO2循環プラント」を安城製作の電動開発センター内に建設し、実証実験を開始していると発表した。

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(写真:デンソー

 意外に早く実用化されたことに驚くと同時に、今後の展開と課題が気になる。

 デンソーによれば、「CO2循環プラント」は主に工場で発生するCO2を回収し、エネルギー源や他の材料に循環利用することを想定した設備だという。

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(画像:デンソー

 今回の設備は、ガスを使用する機器の排気から回収したCO2と、再生可能エネルギー電力を用いて生成した水素から、メタンを合成してエネルギー源として再利用するプロセスを実証しているという。

CO2回収・循環技術の開発は、すでに世の中で、実証レベルで行われています。ただ、対象となっているのは火力発電所や製鉄所などの、CO2濃度の高い排ガスを排出している大規模なプラントばかりです。

なぜなら、現状の技術ではCO2回収効率が悪いため、CO2濃度の高い排ガスを対象にせざるを得ないのです。一般的な製造業の生産設備から排出される、比較的CO2濃度の低い排ガスから、効率よくCO2を回収できるコンパクトなサイズのソリューションは、まだ世の中に存在していません。 (出所:デンソー) 

www.denso.com

 そんな背景がある中、今回のプラントは構想スタートからわずか約20カ月という短期間で完成したという。

 しかし、製造業の現場で「CO2循環プラント」を実用化させていくには、大きな課題が2つあるとデンソーはいう。

 ひとつは『プラントの小型化』、そして、もうひとつは『エネルギー効率をいかによくするか』という点だという。

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(写真:デンソー

実用化を目指すならば、『現状の生産設備に後付けで導入可能なサイズになるまで、プラントを小さくすること』が重要なのです。(中略)

いかに少ないエネルギーでCO2を回収し、メタンガスを合成するか

エネルギー効率はコストにもダイレクトに影響してくるので、CO2循環のシステムを広く普及させるためには、『エネルギー効率を上げて運用コストを下げ、採算が取れるようにすること』が何よりも重要な課題です。 (出所:デンソー

 写真を見る限り、小型化できているかと思えば、さらに小さなサイズにすることを目指しているという。

 プラントがさらに小型化でき、追加の限界コストをミニマイズでき、今使用している化石燃料と同程度までにコストが低減できれば、CO2もまた天然資源と同様に無償「タダ」の資源となるということであろうか。

 こうしてできる小型化された「CO2循環プラント」が各工場に設置されれば、新たな分散型のエネルギー源にもなって、大規模なプラントを広大な土地に建設し、スケールメリットを活かしそうとする従来の方法が陳腐なものになっていくのかもしれない。

 発想の転換が求められているのだろう。

 

 

 温室効果ガスの排出削減の取り組みで遅れてきた海運業界の中で、商船三井が2050年に温室効果ガス排出量を実質ゼロとする目標を打ち出したという。

www.bloomberg.co.jp

 ブルームバーグによれば、商船三井の橋本社長は、海運業界における実質ゼロの達成は「極めてハードルが高い」といい、長距離の海上輸送を担う大型船をCO2を排出しない水素などの燃料だけで運行するのは「技術的にも経済的にも現時点では相当難しい」という見方を示し、「メタネーション」技術が「現実的な回答」ではないかと期待を示しているという。ただ、実用化の課題にコスト低減を挙げる。

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 デンソーは、2035年カーボンニュートラル達成を目標に技術開発を進める。もう少し早く実用化されるような気もする。

 こうした技術が確立され、分散化社会になれば、もしかしたら経済しくみにも変化が起きるのかもしれない。