6月8日、IBMが米国議会に宛てた書簡で、顔認識テクノロジーの提供や開発及び調査を終了すると宣言したとForbesが伝えた。
Forbesによれば、IBMは顔認識技術が大規模な監視や人種に基づいたプロファイリングに用いられ、基本的人権や自由を脅かしていることに強く反発しているという。
IBMの行動に、驚愕する。テクノロジーが、自分たちが思い描く形でなく利用されることを断固望まないとの姿勢のあられなのだろうか。
「我々は今こそ米国が、顔認識テクノロジーが法の執行機関によって利用されるべきかどうかの議論を始めるべきだと考えている」とIBMのクリシュナCEOは書簡で述べた。
クリシュナはさらに顔認識テクノロジーが、同社が掲げる「信頼と透明性(Trust and Transparency)」の理念に合致しない形で利用されることに強く反発すると述べた。 (出所:Forbes)
国内では、NECが、AIによる画像認識技術を活用して、海水や堆積物からマイクロプラスチックスの量を計測するシステムを開発したと発表した。
この技術は、「JAMSTEC」国立研究開発法人海洋研究開発機構と共同で開発されたという。今後、マイクロプラスチックス汚染の実態解明が進み、適切な排出規制の立案に貢献することが期待されるという。
こうしたテクノロジー利用であれば、倫理、モラルに反することはない。今必要とされる領域に利用され、社会課題の解決に役立つことも期待される。
(資料出所:NEC公式サイト プレスリリース)
NECによれば、「JAMSTEC」は海洋科学技術の総合的な研究を行う国立研究開発法人で、従来から海洋マイクロプラスチックスなどの研究開発に取り組んでいるという。
「海洋マイクロプラスチックス問題は多くの推測がされている一方で、データは不足している」
JAMSTECによれば、従来、マイクロプラスチックスの計測一は、粒ずつ海水や堆積物から拾い出して、それをまた一粒ずつ機械で計測していく手法がとられていたが、正確さに欠けることや時間がかかりすぎる問題もあったという。
より素早く、そして正確に分析をしていける方法の確立が必要だったという。
そのJAMSTECが、このマイクロプラスチックスの問題を、「プラスチック行方不明問題」として提起する。
“The Missing Plastics”―プラスチック行方不明問題
流出した海洋プラスチックの内、海水に浮くような軽いプラスチックはその半分(約7500万トン)。さらにその中で、海岸などに漂着せずに、海を漂い続けているプラスチックは約4500万トンと推測されていました。しかし、実際の観測を基に計算してみると、約44万トンしか説明できません。
わずか「1%」。
海の表面を漂っているはずのプラスチックの総量に対し、存在を説明できるのはたったこれだけなのです。自然環境下ではなかなか分解されないはずのプラスチック。
残る「99%」はどこへ行ってしまったのでしょうか?
今有力視されているのは、深海をはじめとした「未観測の場所」です。 (出所:JAMSTEC公式サイト )
「マイクロプラスチックス問題」、生態系への影響が心配されるが、食物連鎖を通じ人体にも影響があるのではと懸念されているという。
人が飲食や呼吸を通じて体内に取り込むマイクロプラスチック(プラスチック微粒子)の量は、最大で年間12万1000個に上るとする研究結果が5日、発表された。
プラスチックごみが人体に直接どのような影響を及ぼし得るのか、改めて懸念される内容だ。
マイクロプラスチックは合成繊維やタイヤ、コンタクトレンズなどの製品が分解された際にも生じる極小プラスチック片で、深海から高山の氷河まで、今や世界で最も普遍的に存在する物質の一つと化している。
(出所:AFP BB NEWS)
NECは、AIによる顔認証テクノロジーばかりでなく、プラスチックスについても、新たな発表を行った。
海洋プラスチックごみ等の環境問題の解決に貢献する高機能バイオ素材「NeCycle」を販売開始するという。
非可食植物成分を約50%含有し、自然環境中で4年程度で分解されるセルロース系高機能バイオ素材のNeCycleを本日から販売開始します。
NeCycleは、木材や稲わらなどから得られる非可食植物資源セルロースと安全な成分で構成され、幅広い製品に適用可能な耐久性を持ちながら海洋中での長期的な分解性など優れた環境性を達成しています。 (出所:NEC公式サイト プレスリリース)
NECは、このバイオ素材の認知拡大のため、クラウドファンディング「Makuake」を活用してサポーターを募り、高い装飾性と環境性を併せ持つスマートフォン用ケースの生産・販売するという。
経済産業省が発表した「産業ビジョン2020」の中で、「デジタル」「バイオ」「マテリアル」「エネルギー・環境」は、知的資本主義経済を見据えたR&D投資の重点化として示されている。
今回のNECの動きは、こうした指針にも沿いそうだ。
今ある社会課題の解決に役立てて欲しい。
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