Into The FUTURE

未来はすべて次なる世代のためにある

驚愕、テスラはトヨタ以上に価値ある会社なのか

 

 テスラの時価総額トヨタを抜いたとブルームバーグが報じる。驚きのニュースだ。

 ブルームバーグによると、テスラの時価総額は1735億ドルと、トヨタ時価総額2040億ドル(6月15日終値ベース)を下回る。

 時価総額は発行済株式数に直近価格を掛けて算出され、数式に自己株式を含めて計算すれば、世界でトップの座はトヨタが守っているというが、自己株式分を差し引くと1750億ドルになり、テスラがトヨタを抜くという。

 

 

 ブルームバーグは、「時代の流れという追い風はあっても、トヨタの優れた財務体質を考えると、テスラが過剰評価されている部分がある」と話す三菱UFJモルガン・スタンレー証券の藤戸則弘チーフ投資ストラテジストの言葉を紹介する。

 

www.bloomberg.co.jp

 

 

 

 ツイートされた内容が正であるなら、トヨタとテスラが他の自動車メーカより一歩抜け出ている。

 それはそうかもしれない。トヨタは富士の裾野にWoven Cityという未来都市を作り、自動運転やMaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)、ロボット、スマートホームコネクティッド技術、AI人工知能などの最新のテクノロジーを使ったサービスの実証の場にするという。

 

dsupplying.hatenablog.com

 

 テスラはテスラで、電気自動車EVを作るだけの会社ではなく、独自に太陽光発電事業を展開、世界各地にメガソーラー発電所を作っている。

 世界で走るテスラのEVに必要なエネルギーをテスラ関連の発電設備で作ることができれば、ゼロエミッションの世界が実現できるということだ。

 

テスラ秘密のマスタープラン

スポーツカーを作る
その売上で手頃な価格のクルマを作る
さらにその売上でもっと手頃な価格のクルマを作る
上記を進めながら、ゼロエミッションの発電オプションを提供する

(出所:テスラ公式ウェブサイト)

 

dsupplying.hatenablog.com

 

 ブルームバーグが紹介した三菱UFJモルガン・スタンレー証券の藤戸氏の見立ては甘くないだろうか。

 

 

 

 

 テスラ創業者のイーロン・マスク氏は、テスラ以外にも、SpaceXの宇宙事業、高速移動を可能とさせるハイパーループ構想を進め、その他にも、ボーリングカンパニーで、地下トンネルを掘って、EVで高速移動することも進めている。

 

wired.jp

 

 忙しすぎるイーロン・マスク氏、死角がないということはないのだろう。

 

 「テスラがアップルになるには“ティム・クック”が必要」…モルガン・スタンレーのアナリストが分析、とのBusiness Insiderの指摘が面白い。

 

 アップルは、スティーブ・ジョブズの遺産を活用して、地政学的、社会的な課題が増大しているにもかかわらず、ティムクック氏の力量で、同社の価値を3倍近く成長させることができたとBusiness Insiderはいう。

 

「ここからのテスラにとっての問題は、アップルにおけるティム・クック(Tim Cook)のような、1兆ドル企業になるために経営リーダーが必要かどうかだ」 (出所:Business Insider) 

  

www.businessinsider.jp

 

 それこそ、テスラに、ティムクック氏のようなCOOが登場したら、トヨタを遥かに凌ぐ自動車メーカになれることができるのかもしれない。

 テスラは、まだEVを累計で100万台あまりしか販売していないのだから。

 

 

「関連文書」

response.jp

 

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Society5.0と補助金事業 効率化とは何なのか

 

 コロナによる影響がこの先も拡大していくのだろうか。

 東京商工リサーチによれば、インバウンド需要の消失、外出自粛などの影響を受けた宿泊業や飲食業などサービス業の倒産が5月に83件発生したという。販売不振が続いていたアパレル関連など小売業でも48件発生したという。どれだけの人たちが影響を受けたのだろうか。

 ただ、政策の下支えもあってか、5月の倒産件数は減少したという。

 

「経済を正常な軌道に戻さなければ、財政健全化も果たすことはできない。事態が終息した後、デフレ脱却と経済再生の道を確かにするとともに、歳出歳入の改革等、財政再建を進める」

「経済を再生し雇用を守ることに全力を尽くす」

(出所:ロイター)

 

 昨日、6月15日の参院決算委員会での首相の答弁をロイターが伝える。毎度のような聞き古した言葉、長期政権だが、自ら改善できていないことを認めているとのことなのだろうか。

 

jp.reuters.com

 

 

 

 コロナ対策で実施された給付金政策で、対応、支給が遅いなどの問題が露呈している。

 そうした中、持続化給付金では「一般社団法人サービスデザイン推進協議会」という実態が不確かな法人から電通に業務委託されていることが問題視されている。

 2次補正予算でも、持続化給付金事業に1兆9400億円を積み増し、対象範囲を広げるというが、この予算分も、「一般社団法人サービスデザイン推進協議会」が受託する可能性があると朝日新聞が報じていた。

 

 経産省中小企業庁の担当者は3日、「自動的に協議会に発注することは正直しにくくなった」としつつも、コストやスピードを考えると「結果的にそこにならざるを得ない」と話した。(出所:朝日新聞

 

www.asahi.com

 

 持続化給付金ばかりでなく、ポイント還元の補助金事業でも電通への再委託問題があると朝日新聞が伝える。

マイナンバーカードを使ったポイント還元事業の事務を総務省から受託した「一般社団法人環境共創イニシアチブ」が、実務の多くを広告大手の電通に再委託していたことがわかった。

経済産業省の事業では、持続化給付金など複数の事業で電通への大規模な再委託が行われていたが、同じ構図が他省でも明らかになった。 (出所:朝日新聞

 

digital.asahi.com

 

 

 

 国は「Society5.0」を掲げ、イノベーションを標榜し、効率化社会を目指している。

 しかし、足元の補助金事業では、よほど効率化からは遠く離れた実態があるように感じる。

 経産省中小企業庁の担当者は「コストやスピード」を考えると同じ法人に発注せざるを得ないという。この「コストやスピード」とは、まさに効率化ということではなかろうか。

 

 補助金事業に電通を使うメリットとは何なのだろうか。

 

 国が実施する補助金事業は手間がかかるし対応が遅いと、補助金事業を経験した人たちから聞いたことがある。それでも、補助金事業を行うメリットを考えれば、国のルールに従い対応していたという。

 

 率先垂範、まずは国がSociety5.0に繋がる効率化の先例を示すべきだろう。

 電通に発注すれば、こうした従来の問題を同時に解決でき、確実に成果を上げられると実績があれば、納得もあるのかもしれない。

 そうしたことがないのであれば、行政の暴走というしかないだろう。暴走を止めるのが政治の役割のはずだ。それもできずにいるから、いつまでも同じの繰り返しになるのだろうけれども。 

 

 甘い汁を吸おうとする輩を多く育成したのが今の政治の成果なのかもしれない。それで経済が支えられている構図であれば、何とも危ういことではないか。

 

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コロナショックでマスクを販売する国内アパレル、改革をスピードアップさせるZARA

 

 米GAPの2020年2~4月期決算は、売上高が前年同期比43%減ったという。Forbesは、新型コロナのパンデミックを受けて全世界の店舗のおよそ90%を閉鎖したことが響いたと言伝える。

 多くのブランドが、オンラインで売上を伸ばす中、GAPブランドは、オンライン売上高も減らしており、コロナとは別に以前から続いていた問題が鮮明になっているという。

再建戦略として、デザインチームに「クリエイティビティ面の自信」をもってもらうことなどに取り組んでいると説明した。ただ、具体策はほとんど語られなかった。(出所:Forbes)

 

 Forbesは、「GAPブランドの再建計画にはさまざまな不確実性がともなっており、クールなブランドとしての復活は今後ますます厳しくなっていきそうな雲行きだ」と指摘する。 

forbesjapan.com

 

 

 

変わり始める常識 変わる「新しさ」

 Business Insiderは、Forbesの指摘とは裏腹に、GAPが決算発表の場で、新たな戦略を発表をしたという。

 記者によって、その受け止めが違うということなのだろうか。 

全ての店を一時営業休止にせざるを得なかったギャップ(Gap)は6月4日の決算報告で、「梱包したまま取っておく」戦略を取ると発表した。

客のいない店に置かれたままになっていた夏物などを売ろうとするよりも、こうした服をしまっておいて、来年の春に店に戻すことをギャップは選んだということだ。

売れ残った服を全てセールにして売り切ろうとするよりいいだろうと、同社は決断したという。

「商品を保管しておくコストはかかるものの、より売れるであろう環境に商品を投入する方がいい」とギャップのエグゼクティブ・バイスプレジデント最高財務責任者CFO)のカトリーナ・オコネル(Katrina O'Connell)氏は語った。 (出所:Business Insider)

www.businessinsider.jp

 

 GAPと同様に「梱包したまま取っておく」戦略をとるアパレルブランドがあるとBusiness Insiderは指摘する一方で、こうした戦略に懐疑的な見解を示す意見もあるという。

だが、"梱包したまま取っておく"戦略を成功させるには、在庫にある商品が翌年でも消費者に受け入れられるものでなければならない。一般的にアパレルブランドは、"客にアピールするためには、最新のスタイルを提供する"というアイデアに頼ってきた。 (出所:Business Insider)

 

 GAPの新たな挑戦を、消費者は好意的に受け入れるのだろうか。

 他のアパレルのようにオンラインで販売を伸ばすこともできない、苦境にある時だからこそ、挑戦できる内容とも思える。

 

 

 

常識を覆す

  ZARAを展開するスペインのインデックスが、コロナの影響で世界で大量閉店を決めたと日本経済新聞が伝えていたが、WWD Japanは、「この“減店舗政策”はこれまでの施策をさらに加速させた“既定路線”なのである」と違った見解を示した。

 彼らが目指しているのは、「店舗とオンラインストアの完全な統合」だ。デジタル時代にマッチした未来の店舗のあり方を模索し、6年前から店舗ネットワークの再編に着手。ネットで注文して店舗で受け取る「クリック&コレクト」や店舗での返品などのサービス機能を加えた、広い面積を持つ大型旗艦を一等地に構える戦略を打ち出した。

複数あった小型店を集約することで、在庫を効率化し、人員・オペレーションも効率化した。 (出所:WWD Japan)

www.wwdjapan.com

 

  国内では、老舗アパレルのレナウンが経営破綻し、変わらない商習慣の問題などの指摘があった。また、アパレル業界の大量廃棄の問題指摘もあった。

 ZARA、GAPともに、方法に違いはあるものの在庫の効率化に着手しているようだ。ZARAについて言えば、その行動の始まりはもう6年も前という。

 今、多くのアパレルがオリジナルのマスク販売を始めている。そのほかに、この厳しいウィズコロナの環境に合わせるよう、何かアクションを起こしているのだろうか。

 

 ユニクロの強さばかりがハイライトされている。ユニクロに追従するアパレルが登場しないのはなぜなのだろうか。競合を徹底的に調査、追従する貪欲さがあってもよさそうな気がする。

 

 WWD Japanは、コロナの影響で、アパレル在庫処分大手のショーイチに、例年にない量の過剰在庫が持ち込まれていると伝えていた。

 

www.wwdjapan.com

 

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景気の先読みに戸惑い コロナ渦でも倒産件数が大幅減少

 

 コロナ渦の影響を伝えるニュースを見るたびに戸惑うことがある。1930年代の世界恐慌並みの経済危機と言いながら、ナスダックでの株価が史上最高値更新とのニュースが流れる。

 今年の世界経済はマイナス5.2%の成長と、最悪の落ち込みといい、かなり悲観的なニュースが流れるが、国内では、5月の倒産件数が56年ぶりの低水準という。米国でも、5月の雇用統計が予想外に改善したという。 

世銀は2つの別のシナリオも示しており、新型コロナの収束に予想以上に時間がかかり、制限措置の継続や再導入が必要になる場合、世界経済は今年ほぼ8%のマイナス成長に落ち込む可能性を指摘。一方、制限措置を近くおおむね解除できるシナリオでは、成長率は4%のマイナスにとどまるとの見方を示した。ただ、この場合でも、2009年金融危機時の2倍余りの落ち込みとなる。

中国は1%増とプラス成長を確保するものの、1976年以来の低水準を見込む。日本は6.1%、米国も6.1%、インドは3.2%のそれぞれマイナス成長の予想。

一方世銀は、来年の世界経済についてはプラス4.2%成長への回復を予測した。 (出所:ブルームバーグ

 

www.bloomberg.co.jp

 

 

 

 5月の景気ウォッチャー調査によると、景気に敏感な小売店主らに聞いた「街角景気」が15.5に改善したという。それでも、まだ2002年以降で3番目に低い値だという。

2~3か月先の景気の見方を示す先行き判断指数は19・9ポイント高い36・5で、過去最大の上昇幅となった。全ての業種が2桁の伸びで、「今が最底辺なので、今後は少しずつでも日常を取り戻せると期待する」(北海道の観光名所)などの声が上がった。

 内閣府は基調判断について「極めて厳しい状況にあるものの、悪化に歯止めがかかりつつある」との見方を示し、1年3か月ぶりに上方修正した。 (出所:読売新聞)

 

www.yomiuri.co.jp

 

 コロナの影響で足元の経済が急激に悪化したが、近々、経済は反転、上向くが昨年並みまでには遠く及ぼない。つまり、経済的に影響する期間としては、極めて短いがその溝は物凄く深いということなのだろうか。

 

 東京商工リサーチTSRの『「破産をリモートで進めるのか」、倒産件数56年ぶりの低水準の舞台裏』との記事が気になった。

 TSRによれば、緊急事態宣言以降、法的手続きを進める弁護士の作業が、移動制限によって滞ったことで、5月の倒産の下落につながったという。

  セーフティネット保証の適用拡大や持続化給付金など、政府の資金繰り支援策も倒産の抑え込みに一役買っているともTSRは指摘する。

 

別の審査関係者は、「下手に期限の利益喪失を振りかざして破産されるより、融資や助成の中から支払ってもらった方がいいと思っているところもあるはず」と本音を明かす。

 

「止血なき輸血」の行方
 5月25日に緊急事態宣言は解除されたが、「新しい生活様式」でコロナ前の売上・利益率をあげることは難しい。中小企業では財務余力が乏しく、環境変化に向けた多額の投資には動けない。アフターコロナに対応できない企業への資金繰り支援は、究極の「止血なき輸血」で新たなゾンビ企業の再発にもなりかねない。 (出所:TSR

 

www.tsr-net.co.jp

 

 「緊急事態宣言の解除に伴い、法的手続きが正常化すると、倒産が再び増加に向かうことは必至だ」といい、今後の2次破綻のリスクもTSRは指摘する。

史上最大の資金繰り支援が、倒産を抑制している側面もあるが、支援とセットの「再建」計画をどう策定し、実行するのか。
 事業再生の現場からは、「この状況で計画を作っても蓋然性が担保できない」との声も漏れてくる。リスクを過小評価した場合、「過剰支援」になり、過大評価は「二次破たん」に繋がることも懸念される。 (出所:TSR

 

 

 

 コロナの第二波や第三波も気になるし、今後の経済動向が気になる。倒産する企業が急増に転じるのだろうか。

 仮に急増するようであれば、コロナ渦を思えば、様々な産業に波及しそうな気もする。

 ブルームバーグが伝えた世界銀行の経済予測にはそうしたことも織り込んでいるのだろうか。そうであると、株価が高すぎる気もする。

 

 誰も経験のないことがこのコロナ渦と言われる。どの予想が正しいのかと気を揉んでも仕方がないのかもしれない。

 何れにせよ、時が経てば、すべてが明らかになってくる。要注意で、ウォッチということなのだろう。

 

 

「関連文書」

dsupplying.hatenadiary.com

 

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苦しい飲食店を税金でどこまで救済するのか

 

 新型コロナによるパンデミックが起こり、世界恐慌以上の経済危機が到来するのではと心配されていた。一時株価は大きく下落し、恐慌が始まるのではと思わせたが、株価は回復し、ここ最近では以前と変わらぬ水準まで回復してきたようである。

 各国政府の積極的な政策の下支えがあってのことかもしれない。

 

jp.reuters.com

 

 コロナパンデミック以降、倒産件数は増えたが、危惧された世界恐慌並みの経済危機にはまだ至っていない。

 この先、ロイターの指摘するようなコロナバブルが起こるのであれば、2次補正予算はほんとうに必要なのだろうかと思いたくなる。

 

 

 

 「大阪の飲食店7割、解除後も売上高半減 外出自粛響く」と日本経済新聞が報じる。

緊急事態宣言は解除されたが、大阪府の飲食店では客足が戻らず厳しい状況が続いている。通常営業が可能になった5月下旬の1週間の売上高は、約7割の店舗で前年同期に比べ5割以上減った。4月から回復はしているが、宴会自粛などが響き夜の集客に苦戦している。感染拡大を防ぎながら、売り上げをどう確保するか戸惑う声も出ている。 (出所:日本経済新聞

 

www.nikkei.com

 

 アフターコロナでは、元あった世界にはもう戻れないと聞く。日本経済新聞が伝えた内容はこうしたことの証左なのだろうか。

 もし、こうしたことが、「新しい日常」での当たり前になるのであれば、飲食業の救済、支援のあり方を考え直す必要はないのだろうか。 

新たな課題も出ている。新型コロナの感染拡大を防ぐための「新たな生活様式」では、座席を減らしたり、ビニールシートで仕切ったりする対応を飲食店に求めている。

焼鳥と焼野菜ぎんすけ三国店(大阪市)は「感染防止を第一に取り組みたいが、ソーシャルディスタンス(社会的距離)は難しい。座席を少なくすると、売り上げと利益は確実に減る。会社として存続が難しくなってしまう」と危機感は強い。「飲んで楽しむのがレストランなのに。客も店に行く意味がない」(大阪市の飲食店)と戸惑いの声もあがった。(出所:首日本経済新聞

 

 飲食店側の言い分は理解できる。しかし、変えようもない事実として、新型コロナが存在し、散発的にクラスターが発生する現実があれば、三密になる場所を避けたいという人が多数いてもおかしくないだろう。

 誰が悪いわけでもなく、これが今ある環境ということなのだろう。

 

「お店」の苦境は理解するが、感染リスクを考えると、今までと同じように、同じ頻度で「お店」に行けない。 

 

  割り切っていってしまえば、店側の事情と顧客ニーズのミスマッチが、今起こっているに過ぎない。

 

 新たに「公衆衛生」を作り替える契機ということなのかもしれない。感染リスクがなく、安心して来店できる飲食業に変わることが求められているのだろう。

 

 

 

  飲食業を中心にして、「家賃モラトリアム」の要望が高まっているようだ。

「コロナに苦しむ飲食店の“救済”に格差 カリスマシェフが指摘する重大問題」とITmediaビジネスオンラインが報じる。

 

 「このまま、何の補償もなく営業を自粛していたら、飲食店はバタバタと潰れてしまう」 

「与党案だと、1~2店を経営している個人事業主なら救済されるでしょう。

しかし、3店以上を出しているところは厳しいです。

1企業ではなく、1店につきなら、まだ分かるのですが……」と顔を曇らせる ....

都心部の場合、1カ月の家賃が300万~400万円もざらで、与党案で押し切られては、支援金をもらっても焼け石に水だ」と、松田氏は困惑している。 (出所:ITmediaビジネスオンライン)

 

www.itmedia.co.jp

 

与党案は、3店以上を経営する意欲的な経営者ほど厳しい。営業ができない場所で、無駄に家賃だけ払えない

 DDホールディングスは、2020年2月期決算で売上高573億6900万円(前年同期比12.5%増)、経常利益29億1600万円(同30.6%増)となり、売り上げ、各種利益ともに過去最高となっている。ところが、稲本氏によれば、4月の売り上げは休業した結果、前年比98%減になった。まさに、これから飛躍の時と意気込んでいた矢先にコロナ禍に襲われた。(出所:ITmediaビジネスオンライン)

 

「東京の山手線内の家賃はとりわけ高額で、1企業、1個人の頑張りではどうにもならない」とDDホールディングスの取締役が訴えたとITmediaは伝える。

 「無駄に家賃だけ払えない」というなら、払わずに店をたたむしかないだろう。

 

 今ある環境を国や自治体がすべて作り出したわけではない。全てはコロナによって引き起こされたということではなかろうか。

 そうした事情の中で、経常利益を29億円あげ、300~400万円の高額な家賃を払えた企業を、どんな形であれ、税金を使って救済する必要があるのだろうか。

 あるとすれば、三密を生み出さないなどの「公衆衛生」の向上に資する行為があることが条件になるのではなかろうか。

 そうしない限り、いつまでも安心・安全が担保されない。

 

アフターコロナでは、もう前の世界には戻ることができないのだから。

 

 日経新聞は、神戸国際大学の中村智彦教授の言葉を紹介する。

「飲食業は他の産業が正常通りになってから初めて客が増える。給付金や融資制度の一層の拡充が必要だ」と指摘する。

「ソーシャルディスタンスが定着すると、生活だけでなく商売の方法も変わる。経営者は変化を受け入れる必要がある」 (出所:日本経済新聞

 

東京新聞は、「大きな課題が起きると政府内では各省庁がさまざまな名目で関連予算を要求する傾向にある。中には必要性に疑問が残る予算も多く含まれ額は肥大化する」。

「人々が苦しむコロナ禍を予算獲得合戦の具にしてはならない。そのために最も必要なのは国会で議論を尽くすことだろう」と指摘する。

 

www.tokyo-np.co.jp

 

 もうそろそろばらまきを止めた方がいい。社会をよりよい環境にするために、優先的に税金を使うべきではないかと思う。

 

「参考文書」

コロナ禍の下にある不動産、家賃モラトリアムのリスクを考える-コロナ禍が理由の家賃の延滞では契約解除が困難に(ニッセイ基礎研究所)

 

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認知されないSGDs、進まぬ循環経済 その深層は

 

 スーパーシティ法が成立したという。まちづくりに先端技術活用し、生活全般をスマート化した“まるごと未来都市”を構築していくらしい。

 

人工知能(AI)やビッグデータなど先端技術を活用した都市「スーパーシティ」構想を実現する改正国家戦略特区法が可決、成立した。車の自動運転や遠隔医療などを取り入れたまちづくりを通じ高齢化社会や人手不足の解決につなげる。

スーパーシティ構想は物流、医療、教育などあらゆる分野の先端技術を組み合わせ、その相乗効果で住みやすいまちをめざす。自動運転やキャッシュレス決済、ドローンの自動配送、遠隔診療などのサービス提供を想定する。 (出所:日本経済新聞

 

www.nikkei.com

 

 官邸公式ページで、スーパーシティ構想を解説している。

 

「スーパーシティ」構想の概要

地域の困った(高齢化、過疎、空き地…)を見過ごせない。

J-Techと規制改革を総動員して、「困った」を絶対解決!

J-Techと、開発の基盤になった地域を世界に発進。

技術力の日本!新しい技術を地域と共に育てる。

 

①これまでの自動走行や再生可能エネルギーなど、個別分野限定の実証実験的な取組ではなく、例えば決済の完全キャッシュレス化、行政手続のワンスオンリー化、遠隔教育や遠隔医療、自動走行の域内フル活用など、幅広く生活全般をカバーする取組であること
②一時的な実証実験ではなくて、2030年頃に実現され得る「ありたき未来」の生活の先行実現に向けて、暮らしと社会に実装する取組であること
③さらに、供給者や技術者目線ではなくて、住民の目線でより良い暮らしの実現を図るものであること
という、この3要素を合わせ持ったものであると定義しており、これを「まるごと未来都市」と呼んでいます。 (出所:官邸公式ページ) 

 

www.kantei.go.jp

 

 

 

 先日、経済産業省「循環経済ビジョン2020」を公表した。

  

 EUは循環型社会への転換を目指し、「サーキュラーエコノミー」を政策の中心に据えた。世界経済フォーラムなども活用して、世界的なトレンドにしようと努力を惜しまない。欧米企業の多くが、このサーキュラーエコノミーの概念を取り入れ、製品開発、システム設計を進めている。

 

 そんな世界的な流れに遅れまいとしたのが、この「循環経済ビジョン」なのだろうか。

 

 

 首相官邸は、もちろん「SDGs」にも取り組む。国連で採択され、2020年は「行動10年」と言われるているからであろうか。

 

  政府SDGs推進本部が、昨年12月「SDGsアクションプラン2020~2030年の目標達成に向けた「行動の10年」の始まり~」を公表した。

 

 この中で、「SDGsアクションプラン2020」のポイントを説明する。

 

日本は,豊かで活力のある「誰一人取り残さない」社会を実現するため,一人ひとりの保護と能力強化に焦点を当てた「人間の安全保障」の理念に基づき,世界の「国づくり」と「人づくり」に貢献。SDGsの力強い担い手たる日本の姿を国際社会に示す。

『SDGsアクションプラン2020』では,改定されたSDGs実施指針の下,今後の10年を2030年の目標達成に向けた「行動の10年」とすべく,2020年に実施する政府の具体的な取組を盛り込んだ。
国内実施・国際協力の両面において,次の3本柱を中核とする「日本のSDGsモデル」の展開を加速化していく。 (出所:首相官邸公式ページ)

 

 政府によるSDGsを推進するための主な取組を説明する。

『経済財政運営と改革の基本方針2019』(抜粋(令和元年6月21日閣議決定)):人間の安全保障の理念に基づき,SDGsの力強い担い手たる日本の姿を国際社会に示す。特に,質の高いインフラ,気候変動・エネルギー ,海洋プラスチックごみ対策,保健といった分野での取組をリードする 。 この他,女性,防災,教育,デジタル化といった分野でも,SDGsの取組を進める。

『成長戦略フォローアップ』: 持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向けた世界的な動きは,新たな事業機会をもたらす。「Society 5.0」を国際的に展開し,「日本のSDGsモデル」を,アフリカ及び東南アジアを重点地域として,国際社会に共有・展開する。 (出所:首相官邸公式ページ)

 

 SDGsが政策の中心にあるような記述になっている。だが、現実とは乖離してはいないだろうか。

 

 

 

  こうして各政策を眺めてみれば、それなりにまとまっているようにみえる。だが、どれだけ現実に社会実装されているのだろうか。

どれだけの人々がSDGsを認知し、サーキュラーエコノミーを正しく理解しているのだろうか。

  電通の調査では、SDGsの認知率は29.1%。2019年2月の調査から13.1ポイント改善したが、1/3にも満たない。

 

 世界的な動きに遅れまいとしているだけではないのか。

 

  現政権が発足したのは、 2012年12月のこと。政権の一丁目一番地と言われる経済対策「アベノミクス」がスタートして、もう7年以上の時間が経過する。

 

 デフレからの脱却と持続的な経済成長を目指すとした。企業の業績を改善し、雇用の拡大や所得の上昇につなげ、さらなる消費の増加をもたらすことが期待されるとした。こうした「経済の好循環」を実現し、景気回復の実感を全国津々浦々に届けますとした。

 

 「2%の物価上昇率を達成する」という目標を掲げ、「異次元」の金融緩和に踏み切ったのも7年前のこと。企業や国民に染みついたデフレ心理を一掃しようとしたが、その目標は実現できず、いつしか違う数字で、経済が回復していると政策の正当性を主張した。

(資料出所:官邸公式ページ

 

 現実はどうなのだろうか。

 

 持続的な経済成長のためには、常に消費の拡大が必要になる。消費の拡大が途絶えれば、政府が標榜する持続的な経済成長が途絶える。そのためには常に、消費の拡大を喚起しなければならない。

 そういしたことが、無駄を生み、非効率を生み出しているのかもしれない。その非効率の改善を追いかけるような政策が、成長戦略「未来投資会議」なのかもしれない。

 

 官邸公式ページでは、「未来投資会議」を、イノベーション構造改革による社会変革(Society 5.0)を目指して、これまでの構造改革の総ざらいを行い、近年の目覚ましい技術革新を社会実装し、成長戦略をさらに加速させるためだという。

 

Society(ソサエティ) 5.0とは
Society 5.0とは、「狩猟社会」「農耕社会」「工業社会」「情報社会」に続く、人類史上5番目の新しい社会のことです。
IoT、ロボット、人工知能(AI)、ビッグデータといった先端技術をあらゆる産業や社会生活に取り入れ、経済発展と社会的課題の解決を両立していく新たな社会であるSociety 5.0の実現を目指します。 (出所:首相官邸公式ページ)

 

www.kantei.go.jp

 

 

 

 やりたいことの概要は理解することはできる。

ただ気になることがいくつかある。

 当初定めた物価目標はどうなったのだろうか。

 国民の感情はどうなのだろうか。みなが等しく経済が上向いていると感じているのだろうか。

 持続的な経済成長とSDGsはどんな関係にあるのだろうか

 

 スーパーシティ法案でも気になったことがある。

 海外事例を分析し、日本が遅れているような表現をする。 

 ほんとうにそうなのだろうか。

 世界には確かに先駆的な事例が数例ある。

 それをもって、遅れているとしているのならどうかと思う。

 何事にも日本型○○を国際的に発信とよく表現する。

 その目的は何なのだろうか。

 

 世界的な潮流からはずれていないだろうか

 日本型にこだわり過ぎて世界市場からつまはじきされることはないのだろうか

 

 政権の姿勢が、社会的な雰囲気を作り出しているのかもしれない。

  

 SDGsの認知にはもう少し時間がかかるのだろう。

 大量消費、使い捨て社会ももう少し続くことになるのだろう。

 

 

「関連文書」

dsupplying.hatenadiary.com

  

「参考文書」

www.nhk.or.jp 

www.kantei.go.jp

 

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【ウィズコロナ】ディストピアな世界では生活できない

 

 新型コロナへの警戒を緩めることはできないが、コロナ生活にも少しづつ馴染んできたのかもしない。

 コロナパンデミックによるディストピア感は遠のきはじめ、コロナで巻き起こったネガティブ感も解消に向かい始めてはいないだろうか。 

 

 米中対立はビフォーコロナから変わらない。秋の大統領選を控え、コロナを口実にエスカレートしているようだ。

 米国内、ミネアポリスでは、人種差別を発端とした抗議活動がエスカレートしたという。その背景に、コロナによる社会不安などがあるのかもしれない。

 

 中国も香港問題を抱え、「香港国家安全法」をめぐり欧米との対立が激化する。全人代では、コロナで傷ついた経済を建て直すため「6つの任務を重点的に取り組み経済回復を目指す」という。

  JETROは、「単純な比較はできないものの、2020年に取り組むべき重点活動任務の筆頭には、「マクロ政策の実施に力を入れ......」が来ており、「マクロコントロールの充実、経済を合理的な範囲内に保つ」が筆頭にきた2019年同様、大規模な減税、企業負担軽減、雇用の安定・拡大が重視されていることがうかがえる」と解説する。

 

www.jetro.go.jp

 

 コロナの影響があってのことかもしれないが、以前と変わらない経済中心の政策とも見える。

 

 

 

 

「大企業向き」の時代は終わった。世界の流れは確実にシフトしている。

 Forbesは、「緊急事態宣言解除の今、コロナが「収束」したあとの経済についても少し考えていく必要があるだろう」という米国シリコンビーチに住む日本人投資家の言葉を紹介する。

 

これまでの大企業至上主義、人間ファースト、利益中心主義の生き方から、個人で地球と共生する生き方、そして誰かの役に立つための生き方へシフトする時期に来ているのではないだろうか

 

こうしたこともビフォーコロナから言われていたことだ。

「この大きな流れに気づくことのできない日本の大企業は、これから非常に厳しい時代になるのではないか」

これまで大企業は、政府の政策や法律、規制のもとに庇護されてきました。でも、もうすでに時代が大企業向きではないのです。 (出所:Forbes) 

 

forbesjapan.com

 

 ビフォーコロナでの課題が、より鮮明になったということだろうか。

 

 ESG債もそのひとつだ。ビフォーコロナから注目が集っていた。特に、気候変動に関わる「Emvironment:環境」への注目度が高かった。ウィズコロナでは、それに加え「Society:社会」への関心が高まってきていると言われる。

 

 日経ビジネスは、「投資家に聞く新型コロナ後のESG」とう記事で、「S」への関心の高まりを解説する。

「当面、収益見通しとの兼ね合いでESGの割合を落とすことがあったとしても、その後はさらに強化される」とBNPパリバ証券チーフESGストラテジストの中空麻奈氏の言葉を紹介する。

 中空氏は、

気候変動働き方改革生存権、健康の意義などがさらに重要な要素になってくる」

とみる。 (出所:日経ビジネス

 

business.nikkei.com

 

 

 

「コロナ後、危機の中にあっても社会に貢献する企業かどうかで評価が分かれる可能性がある」と 日経ビジネスは指摘する。

 

 新型コロナでマスクや医療防護具、人工呼吸器が不足するようになった。こうした物品は国内では生産されずにいた。不足するこうした物品を、電機や自動車メーカなどが次々と支援を表明して国内工場で生産を始めた。

 見せかけのCSR活動のようなものでなく、真に社会貢献するならば、損になることなどなく、それは評価され、それがビジネスにも良い影響を及ぼしていくことは自然な流れであろう。

 

 その代表格が「シャープ」かもしれない。

 

 

dsupplying.hatenadiary.com

 

コロナは避けえなかった災厄だったと考えた方がいいのかもしれない。それによる経済的打撃は、世界恐慌並みなのかもしれないが、行き過ぎた経済はどこかで一度リセットされなければならない。

コロナの影響によるネガティブはやがて収斂していくだろう。浮き彫りになった課題や矛盾をひとつひとつ解決していくことで、コロナで生まれるディストピアな世界から少しづつ抜け出していく。

 

 

何か、微笑ましい。こうあるべきであるような気がする。こんなことが続いて欲しいと思う。

 

「関連文書」

dsupplying.hatenablog.com

 

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